為替(かわせ)という言葉からイメージするものは諸外国との硬貨の取引だと思いますが、実はよくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。そこで、今回は「そもそも為替とは何か」について触れた後、為替相場(為替レート)について解説します。特に外国の株式を保有している場合、仮に利益がでていたとしても、為替レートの動きによっては、日本円に換算すると損失が出ていたということも十分にありえます。為替についてきちんと理解しておきましょう。
為替とは?
為替の起源は江戸時代で、商品の流通が盛んであった大阪を中心として広まったと言われています。江戸と大阪の商人達の間で代金の受け渡しをする際、現金を道中で輸送すると盗難などのリスクがあったことから、商人達は第3者の両替商(預金を預ける仕組みがあった)に現金を預け、逆手形(将来の期日に手形に記載された金額を支払うことを約束する証券)で代金の受け渡しをやり取りしていました。このような商人間で現金を直接受け渡さないような信用システムが為替の起源です。インターネットが普及した現在、オンライン上で現金の受け渡し (銀行振込など)ができるようになりました。国内での銀行振込などは内国為替と呼ばれており、現金を直接受け渡す機会はますます少なくなっています。
①江戸商人が大坂商人から商品を買う
②商品が大坂から江戸へ廻送される
③大坂商人は大坂の両替商に逆手形の発行を依頼
④大坂の両替商は江戸の両替商に逆手形を発送し、同時に融資を行う
⑤江戸の両替商は江戸の商人に逆手形を提示し、代金を取り立てる
⑥江戸の両替商は取り立てた代金を大坂の両替商の融資の返済にあてる
⑦大坂の両替商はこの返済額分、大坂商人の預金を増加させる。決済完了
基準為替相場 ( 基準為替レート )
二国間の異なる通貨で取引をする外国為替の場合、その通貨を同一の通貨で取引するため、外国為替市場で通貨を交換しなければなりません。この通貨の交換比率を為替レート(外国為替相場)と呼びます。外国為替は相対取引が基本なので、お互いが合意すれば為替レートはいくらでも良いのですが、一定基準に基づいた為替レートがないと混乱が生じてしまいます。よって、諸外国との為替レートは銀行同士が取引するインターバンク市場で基準為替相場(基準為替レート)が算定されています。しかし、基準為替レートはリアルタイムで常に変動することから証券会社毎に基準為替レートは異なります。よって、諸外国との基準為替相場 (基準為替レート)はインターバンク市場で算定された為替レートと同義であると理解しても問題ないでしょう。
為替スプレッド
為替スプレッドとは、円貨から外貨に、外貨から円貨に替える際、各証券会社の基準為替相場(基準為替レート)と適用為替レート(買付/売却時の取引為替レート)の差分に相当します。適用為替レートは証券会社毎の基準為替レートに通貨毎のスプレッドを加味したレートです。外貨を購入する場合は基準為替レートにスプレッドを+(上乗せ)し、売却する場合は基準為替レートにスプレッドを-(差し引き)します。
適用為替レート=基準為替レート (証券会社により異なる)+為替スプレッド (証券会社により異なる)
為替スプレッドは一般的に通貨の種類により異なります。スプレッドが設定されている理由は証券会社が儲けるためとの見方もありますが、変動する為替レートの変動リスクをカバーする側面もあります。例えば、証券会社が買い注文を受注した瞬間に為替レートが急に値上がりした場合、注文価格と為替レートに大きな差分が生まれ、その差分の利益は証券会社が注文者に支払わなければなりません。 つまり、証券会社は買い注文を受注した瞬間、為替レートが急に値上がりすると証券会社の損失が増加するリスクがあります。一方、証券会社が買い注文を受注した瞬間に為替レートが急に値下がりした場合、注文者の損失が増加するリスクがあります。よって、証券会社は前もって変動リスク(為替スプレッド)を加味した適用為替レートを設定し、注文執行までの変動リスクを証券会社がカバーできるようにしています。
FXと株ではスプレッドの意味が異なります。
FXのスプレッド(買値と売値の差分)は取引1回ごとに発生するコスト (取引手数料) のことです。
株取引のスプレッドは為替手数料(円をドルやユーロなど外国の通貨に交換する時に金融機関に支払う手数料)のことです。
為替スプレッドに為替手数料が加味されている証券会社がほとんどです。
まとめ
いかがだったでしょうか。為替の起源と為替スプレッドについて理解できたと思います。為替スプレッドは証券会社毎に異なりますが、大手ネット証券では1ドルあたり25銭程度です。したがって、証券会社を選ぶ際、為替手数料を比較する参考泥程度に覚えておいてください。具体的な証券会社の比較については以下の記事を参考にしてください。